小さな私とおおばあちゃん。
イチョウ
『イチョウにはね、オスとメスがあるの。』



そう教えてくれたのは、
下の階に住むYちゃんのお姉ちゃん。

Yちゃんは妹と同い年で、母さん同士も仲が良かった。
Yちゃんのお姉ちゃんはYちゃんの3つ上だから、私の1つ上だ。



私はYちゃんのお姉ちゃんと、マンションの前にある公園でよく遊んだ。

イチョウ並木を駆け回ったり、地面にお絵かきしたり。
シロツメクサの花冠の作り方を教えてくれたのも、Yちゃんのお姉ちゃんだった。



『イチョウにはね、オスとメスがあるの。オスの葉っぱを持ってこの大きな石の上に立って念じると、宇宙と交信ができるのよ。』

「すごい!本当に?!」

『本当よ。だから、オスの葉っぱを探しましょ』



私は夢中でイチョウの葉を拾い集め、

オスかメスかよくわからないまま手に持つと、宇宙との交信ごっこを楽しんだ。






< 2 / 25 >

この作品をシェア

pagetop