王太子の揺るぎなき独占愛
長時間に及んだ会議を終えたレオンは、足早にジュリアの部屋を訪ねた。
朝から体調を崩し寝込んでいると聞き心配していたが、夕食を済ませた今では熱も下がり落ち着いていると報告を受けている。
それでも、やはり気になり様子を見にきたのだ。
すでに夜も遅いが、まだ起きているとジークに聞き、静かにノックをしそっとドアを開いた。
「どうだ? 熱は下がったのか? は? なんだこれは」
レオンが部屋を覗けば、ジュリアが部屋の奥のクローゼットの中から顔を出した。
その手にはいくつかのドレスがあり、ジュリアの後ろからは侍女が続いて出てくる。
「あ、お兄様、どうしたの? 今日は視察で遅くなるんじゃなかった?」
ジュリアはレオンをチラリと見ただけで、そのままソファの上にドレスを置いた。
侍女が手にしているドレスもその上に次々と重ねられていく。
「おい、どうしたんだ? こんなに出してどうするんだよ」
レオンは驚き、つかつかと部屋に入るが、部屋中に洋服や靴、それに帽子や乗馬服までもが広げられていた。
「結婚前に寄付しようと思って整理しているのよ」
ジュリアは腰に手を当て、ふうっと息を吐き出した。
その顔には軽く汗が浮かんでいる。
「ジュリア様、あとはスカーフや手袋などの小さなものですが、それもクローゼットから出しますか?」
ジュリアと同じように汗を浮かべている侍女に、ジュリアは首を横に振った。
「それはいいわ。取りにきてもらうときに必要なものを持って帰ってもらうから」
「お、おい、こんなに服を広げてなにをしてるんだよ」
床にもたくさんのものが広げられ、足の踏み場もない。