王太子の揺るぎなき独占愛


「久しぶりだな」

 顔を合わせるのは一週間ぶりだ。

 レオンはサヤを見た瞬間、顔をほころばせた。
 テーブルの傍らに立ちレオンを待っていたサヤも、レオンが入ってきた途端、頬を赤らめた。
 照れくさそうに視線を合わせるサヤを見て、レオンはホッとした。
 あの日作業部屋でイザベラとのやりとりを見ていれば、厳しい目を向けられるだろうと心配していたのだ。
 おそらく、あの日サヤは作業部屋にはいなかったのだろう。
 慌ただしい日々の中で疲れていた体がふっと軽くなったような気がした。

「なかなか会えなくて、悪かった。王妃教育も結婚式の準備も順調だとジークから聞いているが、どうだ? なにか困ったことはないか?」

 レオンは侍女を下がらせると、自らサヤの椅子を引き座らせた。

「あ、ありがとうございます」

 サヤは恐縮しながら座り、背後を振り返った。そして、レオンを見上げ礼を述べた。

「いや、大したことじゃない。それに、この体勢は、なかなか魅力的だな」

 甘い声がサヤの耳に届いたかと思うと、レオンはサヤの肩に手を置いた。

「え……? あ……」

 サヤがレオンを振り返った途端、レオンの唇がサヤの首筋に触れた。
 軽くなぞるような唇の動きに、サヤは小さく吐息を漏らした。

「殿下……あの」

 レオンはサヤの肩に置いた手に力を込め、離れようとするサヤの体を押さえた。


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