王太子の揺るぎなき独占愛


 ここまで神経質になる理由のひとつにルブラン家を守るということもある。
 かなり広い敷地を持つ王家の森についての知識を別の貴族に引き継ぐには何十年という年月がかかる。
 薬草の効能や世話の仕方、そして王族それぞれの体質。
 ルブラン家の女性が担っている仕事は一朝一夕で伝えられるものではないのだ。
 だからこそルブラン家を大切にし、結婚についても国王の許可を必要としている。

 それを理解しているのは王家だけでなくファウル王国の国民すべてだ。
 ルブラン家には庭の管理に対する多くの報酬が支払われ、暮らしに困ることはない。
 それだけでなく、王家とのつながりも深く国政に通じている。
 だからといって重要な役職にルブラン家が優先的に就くわけではないが、王家に重用される機会が多いルブラン家は貴族の中でも特別な存在だ。
 そう考えればルブラン家を妬む者が多いように思えるが、国民はみなルブラン家の大変さを理解していて、そのようなことはない。

 王家の森の維持には相当な努力と手入れが必要であり、王族の体調管理には細心の注意が求められる。
 そう、薬を間違えれば命を落とす場合もあるのだから。
 ルブラン家が背負う責任の重さは察するに余りある。

 国民の誰もがその重圧を知っているのだ、ルブラン家を手助けすることはあれ、妬むようなことはないのだ。



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