王太子の揺るぎなき独占愛
イザベラははっきりとレオンがサヤを愛していると口にしたが、サヤ自身にはまだそこまでの強い自信はない。
ただひとつ言えるのは、サヤもレオンを愛しているということだ。
今回の事件によって、レオンに万が一のことがあればと悩み、自分も毒を口にしようかとまで考えた。
結局は、毒の苦さを想像し飲みたくないと思ったことで目が覚めたのだが。
そのことは、レオンさえ側にいてくれさえすれば、大抵のことは乗り越えられるとサヤが気づくきっかけになった。
どれほどつらいことがあっても、レオンがいなくなる苦しみに比べれば、大したことではないのだ。
レオンを精一杯支え、王妃の務めも立派に果たしてみせると覚悟を決めた。
「それにしても、いいお湯ね」
イザベラは足をバタバタさせながら、大きく体を伸ばした。
「馬に乗るのは好きだけど、やっぱり疲れるわね」
「あ、今日は私がしがみついてたから、余計に疲れたわよね。ごめんなさい」
頭を下げるサヤに、イザベラは手を横に振り「いいのいいの」と答える。
「でもね、私はジュリア王女とラスペードに行くから、もう乗せてあげられないわよ」
「あ、そうか……」
今まですっかり忘れていたが、ジュリアだけでなくイザベラも王城からいなくなる。
「寂しい……」