王太子の揺るぎなき独占愛
そのような状況の中、現国王の優れた采配と国民への愛情のおかげで、ファウル王国は平和な日々を送っているが、騎士団の訓練は周辺国の中でも群を抜いて厳しい。
国の周囲を取り囲む山脈のおかげで他国からの侵入を防いでいるとはいっても、ファウル国の豊かな鉱脈を狙う者が少なからずいる。
最近発見された新たな鉱脈は、極秘事項として王家とルブラン家以外には伏せられているが、隣国ラスペード王国との国境をまたいで広がっていることから、今後争いの火種になるのではないかと懸念されている。
そうでなくとも、なにがきっかけで他国からの攻撃を受けるかもわからないのだ。
訓練に集中できる時間を確保できる平和な今こそ、精進し訓練に励まなければならないと、レオンは騎士たちを鼓舞している。
レオン自ら率先して訓練に励む姿を見れば、騎士団の士気も上がりさらなる団結を生む。
平和ゆえの好循環に甘えず、今後も争いのない世を長く続けていくこと。
それが次期王たる自分の使命だと、絶えず口にするレオンの鋭い視線に射られれば、誰もが息を詰め、自然と礼をとるのだが。