【完】そして、それが恋だと知った日。
癖でふたつに結った髪の毛をきゅっと握る。
緊張したりするといつもしてしまう。


ちらり、伊澄くんの方を見ると。
少し下を向いて、ゆらりブランコを漕いでいた。


横顔あどけない。
なんか、幼い。
なんか、いいかも。


……いいかも?


何考えてるんだ、私。
急に恥ずかしくなって、勢いよくブランコから立ち上がる。
それに気づいた伊澄くんは私の方に顔を向けた。


「わ、私帰るね。」


「え、うん。」


そして私は走って自分の家に帰った。
ドキドキしてる。
走った時のドキドキだけじゃないドキドキが。
胸の奥底で芽生えたことに。
この時の私は、まだ気付いていなかった。



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