【完】そして、それが恋だと知った日。
「チョコに紅茶?
私飲めないんだよね。」
「ええ、美味しいのに。」
「紅茶とかコーヒーとか。
そっち系苦手。」
「だからオレンジジュース。」
「うん、柑橘系の飲み物が好きで。」
「映画の時もオレンジだったよね。」
「よく覚えてるね。」
「え……うん、たまたま。」
覚えてくれてた、それだけで嬉しい。
伊澄くんが紅茶好きなの忘れない。
大人だなあ。
私が子供なだけかもだけど。
今度挑戦してみよう。
伊澄くんが好きなもの。
私も好きになりたいし。
心の中で小さく決意した。
今年の目標は紅茶克服だ。
「小笠原さん。」
「なに?」
「小笠原さん、塾行くか決めた?」
「うーん、いいなって思ったけど迷ってて。」