【完】そして、それが恋だと知った日。

「俺も。」


「お母さんに相談しなきゃいけないし。」


「そうだよね。」


伊澄くんが行くなら行くかも。
コース違うけど。
運良ければ一緒に行けたりできるかもだし。
また下心満載だけど。
その下心でこの時間があるんだから。
悪い事じゃない……よね?


「小笠原さんが行くなら……行こうかな。」


一瞬、風が強く吹いた気がした。
だからかもしれない。
聞き間違えたかもしれない。


……いまなんて。
伊澄くん、なんて言った。
私が行くなら行こうかなって、言った?


願望、じゃないよね。
強く願いすぎてそう聞こえたとか。
そういうのじゃないよね。


ちゃんと……。
伊澄くんの口から……。


伊澄くん、顔真っ赤。
耳まで。
恥ずかしくなったら耳まで赤くなるタイプだよね、やっぱり。
じゃあ、ほんとに。
伊澄くんの口からそう、聞こえた、よね。
聞き間違えじゃ……ない。


< 101 / 207 >

この作品をシェア

pagetop