【完】そして、それが恋だと知った日。
「俺も。」
「お母さんに相談しなきゃいけないし。」
「そうだよね。」
伊澄くんが行くなら行くかも。
コース違うけど。
運良ければ一緒に行けたりできるかもだし。
また下心満載だけど。
その下心でこの時間があるんだから。
悪い事じゃない……よね?
「小笠原さんが行くなら……行こうかな。」
一瞬、風が強く吹いた気がした。
だからかもしれない。
聞き間違えたかもしれない。
……いまなんて。
伊澄くん、なんて言った。
私が行くなら行こうかなって、言った?
願望、じゃないよね。
強く願いすぎてそう聞こえたとか。
そういうのじゃないよね。
ちゃんと……。
伊澄くんの口から……。
伊澄くん、顔真っ赤。
耳まで。
恥ずかしくなったら耳まで赤くなるタイプだよね、やっぱり。
じゃあ、ほんとに。
伊澄くんの口からそう、聞こえた、よね。
聞き間違えじゃ……ない。