【完】そして、それが恋だと知った日。
伊澄くんが見てる景色はどんなのかなって。
伊澄くんの目になりたい、とか。
全部全部、知りたくなっちゃう。
叶いっこない願いだけど。
叶えばいいのにって思っちゃう。
それくらい、考えてる。
伊澄くんが、好き。
ふと隣を振り向けば。
同じタイミングで伊澄くんが振り向いて。
視線が絡み合う。
あ、伊澄くんの目の中に私がいる。
私の目の中にもきっと伊澄くんがいる。
去年の夏休みが明けたあの日。
学校で初めて目を合わせた時。
あの日も確かこんな感じだった。
伊澄くんの目はキラキラで。
少し色素が薄くて茶色で。
銀河を閉じ込めたみたい。
ほんとに、彗星みたいだって。
たくさんの星が詰め込まれた。
宝箱みたいだって思った。
吸い込まれてしまうかと思うくらい。
透き通った瞳。
今もあの日も変わらない。
真っ直ぐで、綺麗な、瞳。
閉じ込められそう。
視線が、そらせない。
どきどき、心拍数が上がる。
周りの音何にも聞こえない。
自動車が通る音。
風のささやき。
お菓子の袋が揺れる音。
心臓の音すら、聞こえない。
代わりに、私と、伊澄くんの。
微かな吐息の音だけが聞こえる。
もう、我慢できない。
「____好き。」