【完】そして、それが恋だと知った日。

勉強を教えてもらうっていう名目で。
伊澄くんにメールを送ったり。


伊澄くんの説明は丁寧で。
塾の先生よりも分かりやすいかもって思ったり。
頑張る理由があるって、なんかいい。


『小笠原さん、すごいやる気だね。』


『うん。制約があるから。』


『制約?』


『すごく大事なことするための、制約』


『そうなんだ。俺も頑張ろうかな。』


『一緒に頑張ろう。』


『うん。』


私ね、伊澄くんのために頑張ってるんだ。
あなたに告白するために。
好きって、言うために。
結果がどうなるか分からないけど。
あのふたり見てたら。
付き合うっていいな、って思えたんだ。


いつも恥ずかしいとか、周りの目ばっかり気にして。
自分から何かすることなんてほとんどなかったけど。
伊澄くんを好きになって。
もっともっとって欲望が出てきた。
思ってるだけじゃいやだって。
両想いになりたいって。
そう思ったの。


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