【完】そして、それが恋だと知った日。

「どうかした?」


声だけで心臓が跳ねる。
ああ、もう。
……好き。


夕方の公園。
誰もいない、ふたりきり。
伊澄くんを照らすオレンジ色の夕日。
ふたりの影が重なる。
距離はひと1人分。


「伊澄くん。」


「は、はい。」


「あの、私。
 制約、達成したんだ。」


「……ああ、テストの?
 おめでとう!」


「あ、ありがとう。」


男子と違って。
私とあんまり変わらない身長。
声だって低くなくて。
汗臭くなくて、シャツもパリってしてて。
無邪気な笑顔が可愛くて。
チョコが好きで甘党で。
英語が得意で。
えりあしがくるんってしてて。


でも、ちゃんと男子で。
私より力持ちで、暗幕ひとりで持てるし。
足も、大きい。


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