【完】そして、それが恋だと知った日。

「小笠原さん、大丈夫!?」


「だ、だいじょうぶ……。
 ごめん、力抜けて……。」


「両手、出して。」


言われるがままに両手を差し出すと。
両方の手首を掴まれ、伊澄くんの方へ引き寄せられた。
ぐっと引っ張る力は強くて。
ひと1人分も開けない距離で。
私たちはまた向かい合った。


力、男の子だ。
びっくりして涙も止まって。
力の強さにまたどきどきする。


「小笠原さん。」


「は、はい!」


「俺と付き合って下さい。」


「……っ、はい!!」


そう答えた後の伊澄くんは笑っていて。
無邪気に笑っていて。
ああ、この笑顔が好きなんだ。
またひとつ、伊澄くんが好きになった。



< 121 / 207 >

この作品をシェア

pagetop