【完】そして、それが恋だと知った日。
もうバラされてるかな。
ああ、もうバカなんで言っておかないの~!


目立ちたくないし、恥ずかしい思いしたくない。
誰かと噂されるなんて耐えられない。
からかわれる未来、目に見えてるし。


伊澄くんに口止めしに行きたいけど。
そんなこと言いに行く度胸もなくて。
結局その日、伝えることなく放課後を迎えてしまった。


はあ、最悪。
男子と関わるとロクなことないや。


とぼとぼ帰っていると、無意識なのか。
昨日の公園ルートで帰ってきていた。
ぱっとブランコのエリアに目をやると、


「……あれって伊澄くん?」


昨日と同じようにブランコをこいでいる伊澄くんを見つけた。
これって。チャンスじゃない?


周りに同じ学校の人がいないことを確認して。
ふたつに結った髪の毛をぎゅっと握りしめて。
勇気を出して一歩踏み出した。


「い、伊澄くん!」


「あっ、小笠原さん。」


「あ、あの。ちょっといいかな。」


「う、うん。」


伊澄くんはブランコを飛び下りて。
柵を挟んで内側に伊澄くん。外側に私。
向かい合うように立った。

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