【完】そして、それが恋だと知った日。

合宿の時に思った。
今はそれ以上。


流星群?宇宙そのもの?銀河群?
空を集めたみたい。


花火が上がって咲いて。また散って。
その様子が伊澄くんの瞳の中で描かれる。


赤・青・黄・橙・桃・緑・紫・金・銀・白
たくさんの色が伊澄くんの瞳の中に詰まっている。


グリッターのかかったような。
万華鏡のような瞳に釘付けになった。


この人が私の彼氏。
私の事を好きな人。


声が出なくなった。
また花火の方へ顔を向ける。


今までにないくらいどきどきしてる。
顔熱い。
暗くてよかった。
花火さん、私の顔は照らさないでね。


伊澄くんにバレたくない。
こんな、好きですって顔に書いてあるような。
そんなの、恥ずかしいから。


「今日は、ありがとう。」


伊澄くんの声が。はっきりと聞こえる。


「こちらこそ、ありがとう。」


そっと、手が繋がれる。
手の甲に置かれた手。
そっと、向きを変えて。
手のひら同士を合わせ、指を指の間に入れ絡ませる。



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