【完】そして、それが恋だと知った日。
噂×喧嘩×涙
花火大会の日から2週間。
夏休みももう終わりの頃。
私は今日も塾へ来ていた。
今日は伊澄くん私より早く終わるみたいだし。
一回も会えなかったなあ。
花火大会の日からまともに顔合わせてないかも。
お互い塾でも時間がずれてすれ違わないし。
お盆休みとか、模試とかで。
なかなか会えてない。
それでも毎日1回はメールのやり取りをするから。
それだけでも寂しくはなかった。
「小笠原さん。」
「苑田くん?」
「今帰り?」
「うん、苑田くんも。」
伊澄くんとはあまり会えていない代わりに。
コースが一緒な苑田くんとはよく会っていた。
とはいってもはあいさつを交わす程度で。
あまり世間話をしたりはしなかったけど。
「もう外暗いし、駅まで送るよ。」
「いや、悪いよ。」
「俺がよくないから。送らせて。」
「でも……。」