【完】そして、それが恋だと知った日。

噂×喧嘩×涙


花火大会の日から2週間。
夏休みももう終わりの頃。
私は今日も塾へ来ていた。


今日は伊澄くん私より早く終わるみたいだし。
一回も会えなかったなあ。


花火大会の日からまともに顔合わせてないかも。
お互い塾でも時間がずれてすれ違わないし。


お盆休みとか、模試とかで。
なかなか会えてない。
それでも毎日1回はメールのやり取りをするから。
それだけでも寂しくはなかった。


「小笠原さん。」


「苑田くん?」


「今帰り?」


「うん、苑田くんも。」


伊澄くんとはあまり会えていない代わりに。
コースが一緒な苑田くんとはよく会っていた。
とはいってもはあいさつを交わす程度で。
あまり世間話をしたりはしなかったけど。


「もう外暗いし、駅まで送るよ。」


「いや、悪いよ。」


「俺がよくないから。送らせて。」


「でも……。」


< 142 / 207 >

この作品をシェア

pagetop