【完】そして、それが恋だと知った日。

なんか、大人っぽく見える。
学校にいる時はもう少し幼く見えるのに。


制服のシャツは、伊澄くんには少し大きいのか。
肘辺りまで隠れていたけど。
私服のシャツは背丈にあっていて。
角ばった肘が惜しみなく姿を現していた。


もう少しで肩が触れそう。


休日の駅内は人が多くて。
近くに寄らないと歩いている人にぶつかりそうになる。
だから出来るだけ近くに寄って待っているんだけど。


この距離間、ドキドキする。
バレないように横顔を覗くと。
えりあしの髪の毛がくるりと跳ねていた。
寝癖、かな。
変な所に、ある。
どんな寝方したんだろ。


「みんな遅いね。」


「そ、そうだね。」


見ていたのがバレたのかと思って、勢いよく下を向く。
びっくりした……。
ばくばく、心臓が鳴る音が聞こえる。
聞こえてないよね、大丈夫だよね。
近いから聞こえてる、ってことないよね。


ドキドキしているのがバレるのが恥ずかしくて。
半歩分、距離を開けた。


その後待ち合わせ丁度に理香子と苑田くん。
5分遅れてすみれ。
7分遅れで高橋くんがやってきた。


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