【完】そして、それが恋だと知った日。
「すい、だけど。」
「なんて字書くの?」
「彗星の、彗だけど。」
ふいに理香子と伊澄くんの会話が聞こえてきた。
それ、私も気になってた。
彗星の彗……。
綺麗な字。
読み方も綺麗だけど、字も綺麗だ。
「へえ、綺麗だね。」
「えっ。」
伊澄くんはびっくりして、顔を赤くしている。
えっと……って、照れながらありがとうと理香子に伝えた。
なんか。
なんかわからないけど。
もやって、する。
私だって、綺麗だなって思ったし。
理香子だけじゃないし。
なんか……、なんかもう。
今まで感じたことのない感情に戸惑う。
別に変な所なんて一つもないのに。
なぜだかもやもやしてしまう。
「ねえ。」
「は、はい!」