【完】そして、それが恋だと知った日。

「すい、だけど。」


「なんて字書くの?」


「彗星の、彗だけど。」


ふいに理香子と伊澄くんの会話が聞こえてきた。
それ、私も気になってた。


彗星の彗……。
綺麗な字。
読み方も綺麗だけど、字も綺麗だ。


「へえ、綺麗だね。」


「えっ。」


伊澄くんはびっくりして、顔を赤くしている。
えっと……って、照れながらありがとうと理香子に伝えた。


なんか。
なんかわからないけど。
もやって、する。


私だって、綺麗だなって思ったし。
理香子だけじゃないし。


なんか……、なんかもう。


今まで感じたことのない感情に戸惑う。
別に変な所なんて一つもないのに。
なぜだかもやもやしてしまう。


「ねえ。」


「は、はい!」


< 23 / 207 >

この作品をシェア

pagetop