【完】そして、それが恋だと知った日。

「俺、洋画好き……。」


「へえ、意外。」


「父さんが好きで。」


「こいつの部屋、洋画だらけだよ。」


「い、言うなよ……。」


あ、照れてる。
耳まで真っ赤な伊澄くん、かわいい。
下向いちゃったし。
ほんと、女子みたい。


「ねえ、また遊ばない?
 このメンツ、楽しいし。」


いつの間にか言い合いが終わっていたのか。
会話に参加したすみれがそう口にした。


「俺も賛成。」


他のメンバーは賛成らしく。
いいえ、と言えない状況に私も首を縦に振った。


「じゃあ、メアド交換しよ?
 グループ作るし。」


そうして私たちはメアド交換をした。
お父さん以外の男子の名前……。


伊澄彗


友だちの所に入った伊澄くんの文字をそっとなぞる。
本当に、綺麗な名前。


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