【完】そして、それが恋だと知った日。
それは私も同じで。
半袖のセーラー服から。
長袖のセーラー服に変わっていた。


それだけでなんだか知らない人になったみたいで。
男子っぽい伊澄くんに。
どうしてかドキドキした。


先に歩く伊澄くんを追いかけて隣に並ぶ。
あまり変わらない身長差に少し安心する。


「重くない?」


「平気、男だし。」


「力持ちなんだね。」


「これくらいみんなできるよ。」


「そっか。」


ぽつりぽつり会話をしたあと。
やっぱり無言になる。
何、話していいか分かんないや。


リノリウムの廊下を見つめながら歩く。
そろり、伊澄くんの足を見ると。
私より少し大きかった。
足の大きさ、男子だ。
かかとのつぶされていない、綺麗な上履き。
それだけなのに、胸がぎゅっとなる。


なんなんだろう、これ。


そのまま視線を上げて伊澄くんの顔を見ると。
ちょうど、伊澄くんも私の方を見て。
視線が絡み合う。


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