【完】そして、それが恋だと知った日。
しかも、この事伝えられてないし。
ほんとどうしよう。
どうしたらいいの……。


幸いシフトが一番最初で。
考える時間が出来た。


2組と3組はおばけ役に店番で必要な人数が多いため。
ひとり2回必ずシフトに入るようになっていた。
1回目は私達6人同じ時間にシフトを入れていて。
私は理香子と同じ場所でおばけ役をしていた。


今、理香子と一緒にいるの気まずい……。
私が勝手に気まずくなってるだけなんだけど。
それでも気まずい……。


「ねえ真子。」


入ってくる客に気付かれないようにひそひそ話す。
理香子に話しかけられる度にドクドク胸が脈打つ。


「今日どこ回ろうっか。」


「どこ、行こうか。」


「3年の劇見たいし。
 1年3組のモザイクアートも気になるんだよね。」


理香子が楽しそうに話しているけど。
私はその内容が右から左へと頭を通過させていく。
どう理香子に行けないと伝えるかでいっぱいいっぱいだ。
それとも伊澄くんの方を断る?
いや、あんなおっけいの仕方しておいて今さら……。
今さらなのは理香子も一緒か。


どうして私は今日風邪を引かなかったのか。
健康体な自分の身体を恨めしく思った。



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