【完】そして、それが恋だと知った日。
そしたら男子だけじゃなくて女子にもからかわれるし。
絶対ネタにされる……。
そんなの無理、むりむりむりむりむり!
耐えらんない!
絶対恥ずかしい。
男子と一緒なんて死んでも無理だ。
浮ついた気分は一気に沈んで。
忘れていた現実に直面する。
伊澄くんと回るなんて、できない。
周りが気になって出来ない。
もう私のばか。なんでこんな事忘れてたの。
伊澄くんの視線を感じる。
理香子も不思議そうに私の方を見ていた。
「あ、あの……。」
言わないと……いけないって。
伊澄くんに……。
「真子行くよ!」
痺れを切らした理香子は私の手を引いて廊下をずんずん進んでいく。
「あっ……。」
伊澄くんの漏らす声が聞こえた。
ぱっと振り向くと。
傷ついた顔をした伊澄くんを視界が埋め尽くした。
だけど、私には今さら伊澄くんと回る勇気なんてなくて。
意気地無しの私にはできなくて。