【完】そして、それが恋だと知った日。
恥ずかしさと周りの目の方が勝ってしまって。
伊澄くんと絡み合った視線を、思い切り逸らした。


伊澄くんの顔、見れない。
約束破っちゃった……、最低だ私。
こんなんになるなら、最初から断っておけばよかった。
あの時、ちゃんと断っておけばよかった。


目を逸らした時、ズキズキと胸が痛んだ。
痛くて痛くて、泣きたくなった。
大きな穴が開いたように、息が出来なくなった。


あの後、伊澄くんは大丈夫だろうか。
誰かと一緒に回ってるのかな。
傷ついたよね。
結局、一番大きく傷つけてしまった。


ほんと私、なにしてるんだろ……。
ばか、私の大馬鹿。


その後、理香子と色んなところを回ったけど。
全然頭に入ってこなかった。
楽しくない。
こんなの、ひとつも楽しくない。
約束破って傷つけて。
最低なことして。
そんな状態で楽しめるわけなかった。
文化祭なんて、嫌い。
早く終わればいいのに。


戻ればいいのに、時間。
あの日の公園に。
そしたらごめんねって。
でも嬉しかったって。
理香子と回る約束してるんだって。
だから出来ないんだって。


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