【完】そして、それが恋だと知った日。

責められると思っていた回答と全然違う内容に。
弾けたように顔を上げる。


「ち、違うっ。好きじゃないっ。」


「……そう。」


恥ずかしくなって苑田くんから顔を背けた。
好きじゃない。
伊澄くんのことなんて。
好きじゃ……。


触らなくても分かる。
顔が赤くなってることが分かる。


どうしよう。
私……。


理香子が伊澄くんの名前が綺麗だと言った時もやってしたのも。
伊澄くんが他の男子と違って見えたのも。
一緒にいると会話が続かないのも。
ふとした時に男子だと感じたことにどきっとしたのも。


思わず文化祭一緒に回ることにおっけいしたのも。
伊澄くんといるとふわふわした気持ちになるのも。
約束破った時、消えたくなるくらい痛くなったのも。


全部全部、私が……。


なんて皮肉なことなんだろう。
約束破って気付くなんて。
なんで私、こんなにバカなんだろう。


私、伊澄くんのこと好きなんだ。


気付いた途端、心臓がドキドキ脈打つ。
泣きたくなった。


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