【完】そして、それが恋だと知った日。

青色ブランコ

終礼が終わって、放課後。
すみれと理香子とは帰り道が違うからひとり通学路を歩く。


私たちの通う春丘中学校、通称春中は。
色んな小学校の子たちが集まっていて。
私もすみれも理香子も全員違う地区に住んでいた。


気分転換にいつもと違う道で帰ると。


「わあ、なっつかしい~。」


小学校の頃よく遊んでいた公園を見つけた。
ブランコにすべり台、三角の砂場に鉄棒。
よく遊んだなあ~。


幼心をくすぐられて思わず公園に寄り道してしまう。
かえって宿題しなきゃいけないし。
録り溜めてたドラマもみたいし。
夜中に食べたら太るからって我慢したシュークリームもある。


それでも幼心を止められなくって。
……もう考えるの帰ってからでいいや。


浮き立つ心を抑えつつ、リュックをベンチの上に置いて。
ブランコに腰を下ろす。


ゆっくりと漕ぐと、だんだんと感覚を思い出し始めて。
小学校の頃に戻ったようにどんどん大きく漕いでいった。
気づくと結構な高さまできていて。
こういうのって気づいたら怖くなるんだよね。
若干怖くなり始め漕ぐのをやめる。


自然に波が収まるのをぼうっと待っていると、
公園の入り口から誰か入ってくるのが見えた。


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