【完】そして、それが恋だと知った日。
あれだけ嫌われるのが怖いって思ってたのに。
こうやって笑っている姿を見ると、安心してしまう。
嫌われなくて良かった。
傷つけなくて良かったって。


伊澄くんと話す時。
言葉のひとつひとつに気を遣ってしまって。
今の返事変じゃなかったかな、とか。
間違って伝わってないかな、とか。
声上ずってないかな、とか。


他の人と話す時じゃ気にしない事も。
伊澄くんの前だと気にしてしまう。


今だってほら。
髪型変じゃないかな、とか。
前髪うねってないかな、とか。
制服に皺寄ってないかな、とか。
汗臭くないかな、とか。
顔赤くないかな、とか。
ちゃんと笑えてるかな、とか。


神経ひとつひとつ。
手の動きひとつ。
髪の毛一本一本。
全部、気にしてしまう。


ずっと緊張しっぱなしで。
話してる内容なんて全然覚えていられなくて。
ちょっと話すだけで。
伊澄くんの情報が洪水みたいに流れてくる。
一音一句だって逃したくないのに。
緊張で上手く聞き取れなくて。
上手く話せなくなる。



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