【完】そして、それが恋だと知った日。
「ほんとに綺麗だね。」


山中で、空を遮るものがない空間。
たくさんの星が輝いているのが肉眼でも分かった。
しばらく3人で見ていると。
伊澄くんたちがこっちに向かって歩いてきていることに気付いた。


あ、お風呂上がり……。
服は体操服で、みんな同じものを着ているのに。
伊澄くんのだけ違うものみたいに見えてくる。


髪の毛濡れてる。
お風呂上がったばっかりなのか。
濡れた髪の毛がさわさわ風に揺れていて。
少し鼻を赤くした姿に、きゅっと胸が掴まれた気がした。


「すみれ、あっちの方がよく見えねえ?」


「まじで?ちょっとあっち行ってくる。」


「私彼氏に電話してくるわ。」


そう言ってすみれと高橋くんは別の場所。
理香子は館内には行ってしまった。


「俺も帰るわ。」


「えっ。」


突然の苑田くんの言葉にびっくりする。
苑田くんまで中はいっちゃったら、私。
伊澄くんとふたりっきりじゃん!
そんなの緊張するし。
何よりこんな人のいる所でふたりとか無理だし。


「疲れて眠いし、先帰るね。」



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