【完】そして、それが恋だと知った日。
「妹が、いる。」


「そうなんだ、何歳?」


「今小2。」


「小さい!かわいいね。」


「最近生意気で……。」


気付けばいつも何話したらいいのか分からなくて。
どもってばっかりで。
歯切れの悪い話し方しかできなかったのに。
普通に話せてる。
すみれや理香子と話すみたいに、できてる。
そう思うと話すのが楽しくって。
もっともっとって、どんどん欲深くなってくる。


「伊澄くんって、何色が好き?」


「青色、かな。」


「青色か、なんか似合うかも。」


「えっ、なんで?」


「伊澄って名字とか、……彗って漢字とか。
 なんか水っぽいっていうか青っぽいなって。」


名前を呼ぶっていうわけでもないのに。
彗って言葉を口にするだけでどきどきする。
緊張しちゃう……。


「そうかな……。」


「私から見た伊澄くんはそんなだよ。」



< 79 / 207 >

この作品をシェア

pagetop