【完】そして、それが恋だと知った日。
「小笠原さんはピンクって感じがする。」
「ええ~、そんな可愛い色じゃないよ。」
「そんなことないよ。笑った顔とか特に。」
「……あ、ありがとう。」
「う、ん。」
盗み見るように伊澄くんを見ると。
耳まで真っ赤になっていた。
握った左手を口元に当てていて。
恥ずかしいんだなって、照れてるんだって。
それが可愛くて、頬が緩んだ。
「なに、笑ってるの。」
「えっ、笑ってない!」
「バカにしたでしょ?」
「してないよっ、ちょっとかわいいなって思っただけで。」
「可愛いって、男に使わないでしょ普通。」
「そんなことないよ、伊澄くん可愛いよ。」
「あんまり嬉しくないんだけど。」
「褒め言葉だよ。」
「ええ~。」
少し不機嫌そうにつぶやく伊澄くんがおかしくて思わず笑ってしまう。
こんなに声をあげて大きく笑うのは久しぶりで。
止まらなくなって抑えようとしてもできなかった。