【完】そして、それが恋だと知った日。

だから、あの宿泊研修以来。
挨拶ぐらいしかできなくて。
まともに会話をしていない。


そうやって気にかける回数が増えて。
些細なことで自分にイライラする。


「伊澄くん。」


「なに?」


「さっきの英語のとこ分からないとこあったんだけど。ここ、教えてもらっていい?」


「うん、いいけど……。」


確か去年も伊澄くんと同じクラスで。
今隣の席の女の子。


伊澄くんが英語得意なのは去年同じクラスの人なら周知の事実らしく。
よく休み時間に英語の和訳聞かれているのを見かける。
だからその一環で伊澄くんに聞いているんだろうけど。
分かってるんだけど。


でも。
距離近いし。
もうちょっとで肩とか触れそう。
伊澄くんも教えるのに集中して気付いてないみたいだし。
もうちょっと離れても教えられるじゃん。


なんか、もやもやする。
きりきりするし、ずきずきする。


なんか、嫌だ。すごく。



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