【完】そして、それが恋だと知った日。
今が夕日の出ている時間でよかった。
周りがオレンジ色で照らされているから。
私の顔が赤い事、伊澄くんにバレない。


きっと今顔を見られたら。
私の気持ち、気付かれてしまう。
好きな事、バレちゃう。
それくらい、顔に出てる。


見なくても分かる。
今私、どうしようもなく伊澄くんの事が好きだって顔してる。


ぱっと下を向いて。
髪の毛で顔を隠す。


私の気持ち、バレませんように。
気付かれませんように。


でも、伊澄くんの気持ち知りたいです。
伊澄くんの好きな人って、誰ですか。
それは、私ですか。


伊澄くんの中で私は、なんですか。
伊澄くんの好きな人に、私はなれますか。


聞きたい。知りたい。
でも聞けない。知りたくない。


矛盾した心が痛くて、そわそわする。
ブランコを少し揺らして。
気を紛らわせたかった。
この好奇心も、ゆらゆら揺れてなくなればいいのに。
そう願って、ブランコを揺らした。


「小笠原さん。」


「は、はい!」




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