【完】そして、それが恋だと知った日。
気を遣ってくれたのかな。


男子は嫌い。
ガサツだし、下品だし、ガキだし。
声変だし。大きいし。汚いし。


でも、伊澄くんは少し違う。
他の男子より小さいし。
声変わりもしてなくて女の子みたいな声だし。
それに、いつもシャツとかきれいで。
全然、男子って感じしない。


全然違う。


「あの、さ。」


ブランコを漕ぐのをやめた伊澄くんが。
ゆっくりと口を開いた。


「昼、ごめん。」


「え。」


「あの、高橋が。」


「え、あっ。」


すみれのことか。
わざわざ謝ってくれるなんて律儀だ。


「多分、大丈夫。」


「そっか。」


会話が途切れる。
これまで話した事もなかったのにどうしよう。


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