【完】そして、それが恋だと知った日。

ふっと笑う苑田くんに何も言えなくなって。
ありがとう、と呟いて好意に甘えた。


「ここ俺以外の春中の生徒いないしおすすめだよ。」


「えっ。」


「小笠原さん、そういうの気にするタイプでしょ。」


「う、うん。」


「だから、おすすめ。」


そう言って隣でコーヒーを飲んでいる苑田くん。
そんなことまで分かっちゃうの……?
誰にも言われた事ないのに。


確かに誰かに注目されるの嫌だし。
学校じゃない所で、同じ学校の人と会うの苦手だ。
塾、通おうか迷ってた理由の一つでもあるし。


本当にすごいなあ、苑田くん。
なんでもわかっちゃうのかな。
イケメンって、やっぱり違う。


「で、通うの?」


「まだ、迷い中かな……。」


「まあ、お金がかかる事だからよく考えなよ。」


「うん、そうだね。」


「あのさ。」


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