【完】そして、それが恋だと知った日。

「ん?」


苑田くんが何か言おうとした時。
お待たせ、と伊澄くんがこっちへ駆け寄ってきた。


「ごめん、待たせた?」


「いや大丈夫。いこっか。」


苑田くんはその後の言葉を言うことなく。
私たちは塾を後にした。


苑田くんはこの後用事があるらしく。
駅で別れて、私たちはふたりきりになった。


「えっと、この後どうしようか。」


どうしよう……。
本来ならここでばいばいなんだけど。
したく、ないな。
せっかくふたりになれたから。
叶うなら、このままどこか……。


「小笠原さんこの後何かあったりする?」


「な、ないよ!」


「じゃあ、どこか行く?」


「……うん。」


こうなったらいいな、が叶って顔が赤くなる。
嬉しい、伊澄くんから言ってくれるなんて。
どうしよう、私舞い上がってる。
朝あんなに恥ずかしい思いしたのに。
でも、これってデートだよね。


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