恋ができない私たち
昂輝には、双子のそっくりな弟がいて、とても仲がよかった。
その二人とも私と仲良くしてくれていた。よく三人で遊んだりしていた。
私が荒れていた頃、なにも真剣に考えられなかった。
誰かとしっかり付き合って、好きになれば…。
と、軽い思いで、
もう狼と付き合って、現実を忘れようと。
狼と付き合った。
でも、ほんのすぐで別れた。
それは、現実を忘れるなんてそれは無理だったから。
性格や喋り方は違うけど、狼と昂輝は双子でそっくりだから、ずっと一緒にいた私じゃないと、見分けがつかない。
と言うほど似ている。
けど、声や顔はほぼそっくり。
だから
狼を見る度に、
狼と話す度に、
昂輝を思い出してしまった。
もう忘れたいのに。
狼と一緒にいたら、現実を忘れるなんて、出来ないんだって分かった。
もう忘れられないんだよって、現実を突きつけられている気分になる。
そこでようやく頭が回るようになってきた。
狼の気持ち。
現実から逃げてるダサい私がよく見えてきた。