恋ができない私たち
~昂輝~
病室でふたり
「…はぁ、疲れるー。切ない…わー。」
さっき、千夏が近づいたような感じがしたから、薄目で顔を見たら、すごく切なそうな顔をしてた。
あれは、俺のせいか…。
なんか嬉しくて、切なくて、苦しい。
よくわからない気持ちがぐるぐるしてる。
そんなことを考えていたら、廊下から誰か来る音がする。
一応寝たフリしとこーかな。
ガラッ
走ったのかな?息が切れてる?誰だろー。
「はぁ、はぁ、っ疲れた。」
え、千夏?寝たフリしててよかった。
毎日のように千夏が来て、千夏にだけ寝たフリを続けてるから、
目を瞑ってても大体の距離が予想できるようになった。
…多分今、抱きしめられる距離だなー。
「明日、明後日も文化祭のせいで来れないんだよ。…昂輝いないと意味無いのに。」