恋ができない私たち
「じゃあ、そろそろ行くね。文化祭を楽しんで。」
「は、はい!!」
初々しいわね。と、横から声がした。
横目で見ると、その声の主は親友と言えるほど仲のいい、霜村雪菜だった。
同じクラスだ。私と狼と昂輝のことを話せる1人だった。
あー、雪菜も呼び込みかなぁ?
サボろうと思ってたんだけどなぁ。
雪菜は、こういう行事には熱いんだよな。
霜村雪菜なのに…。
名前は超冬って感じなのに…。
クールビューティのイメージなのに…。
「あら?メイド服着ないんじゃなかったかしら。」
「甘いものにつられたんやろ。」
あらら、もしやこの関西弁は…。
成瀬鈴だ。これまた、親友と呼べるほど仲が良く、
私と狼と昂輝のことも話せる1人だ。
小柄で、猫耳フードのパーカーを愛用している。まさに猫って感じで、同じクラス。
「図星って顔ね。その顔は」
「頼まれたからだから。ものにつられたとかじゃないから。」
「でも、甘いものもらえるってのが1番の理由なんやろーなー。なあ?雪菜。」
「そーね、鈴。千夏の顔がそう言ってるわ。」
まあそうだけど。と答え、2人ともメイド服似合ってるね。と話題を変えた。