恋ができない私たち
「ふふっ。さっさと終わらせてなんか食べよーっと。」
前に進もうとしたその時、前の人とぶつかった。
「ぶっ。あっ、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
ぶつかったその人は狼だった。
どうやら王子様の衣装を着ているらしい。
the王子様って感じだ。
「結構カジュアルな王子様だね。」
「俺のクラスの劇の姫やってくれない?」
なんの間も空けずに、そう言った。
「姫役?なんで?」
「…姫役の演技が下手なんだ。」
「今から私がやる方が悪くなるんじゃない?」
「千夏は演技が上手いだろ。」
まあ、そうかもしれない。
小学校や中学校の時は、姫役をやらされ続けたからね。