恋ができない私たち
「美琴ちゃんは、何か役をやったりしないの?」
「私は特に。姫役の萌花ちゃんが色々言った時に、
それを抑えるのが私の役目なの。」
「色々って例えば…?」
「よしっ、できた。例えば、ベッドシーンいれてとか。
なんとかキスシーンで納得してくれたけど。」
ヘアメイクが終わったようで、次はドレスを着せられることになった。
「大変だね。」
「大変だよ。すごく。」
怖いくらいドレスがぴったりだ。なんでだろうか。
そういえば前、女子に寸法計られたっけ。
「はい。この手袋つけて。」
言われるがまま、されるがままにしていると、
「千夏ちゃんが姫役で嬉しい。ヘアメイクしがいがあるし、人気が出るし。」
「役に立てて嬉しいよ。」
「後はティアラだけだ。ティアラは確か、入野くんが持ってるんだよね…。」