君のことは一ミリたりとも【完】



じゃあいつか私も振られるのか。腹が立つから絶対に私から振ってやる。


「じゃあ久しぶりの彼女なんだね! 大事にしなきゃ!」

「本当そうだよねー。アラサーだしここで逃げられたら婚期逃しそー」

「うわぁ、全然シャレにならないよ」


隣から感じる威圧に折角優麻の作ったローストビーフの味が分からなくなる。それを言われて私はどうしろと。
いや、でもこの男が私と結婚まで考えてるなんてそんなことがあるだろうか。高校からすれば付き合いが長いがまだ付き合って数週間である。


「今回は頑張るよ」

「……」

「あいたっ!」


クスクスとした笑いが気に障り、私がもう一度強く彼の足を踏みつけた。




昼食を食べ終わると私は流石に食器の片付けだけはとキッチンに立って汚れた皿をシンクで洗い流していた。
丁度唐沢たち男組は「なんかお酒買ってくるよ」と二人揃って近くのスーパーへ出掛けた。


「ごめんね〜、片付けなんてさせちゃって」

「ううん、ご飯美味しかったしお礼。それに姫乃ちゃん見てなきゃでしょ」

「うん、ありがとう」


優麻はまだ小さい姫乃ちゃんを抱っこしながらキッチンにいる私の元へ来る。


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