君のことは一ミリたりとも【完】
「生瀬俊彦、46歳ねぇ。35歳の時に独立して企業ってすげーな」
会社概要に載ってあった代表取締役の顔写真は金曜日の夜に河田さんと一緒にいた男と一緒の人間だった。
どうしてこんな男と河田さんは付き合っていたんだ。いや、まさかこの男の会社で働いているのか。
パソコンの画面を凝視する俺は次に見つけたとある文章に息を飲んだ。
と、
「なーに見てるんですかー? って、爽太先輩顔真っ青ですよ!」
「え?」
「本当だ、どうかしたか?」
編集部に帰ってきた加奈ちゃんと竹村が心配そうに俺の顔を覗き込む。
加奈ちゃんは俺から画面に目線を移すと生瀬の写真を見て「あ、」と、
「この人イケメンですね! ダンディーな感じ!」
「え゛、もしかしてこういう男が好み?」
「やだなぁ〜、一般的な感想ですよ」
そう言った彼女がとあることに気が付く。
「あれ、でもこの人結婚してるんですね〜」
加奈ちゃんが「残念」と言うと竹村が「やっぱり好みなのか!?」と興味津々に彼女に問い詰めていた。
【39歳の頃に元々勤めていた会社の社長の娘と結婚】