クールな社長の溺甘プロポーズ



それから身支度を終えた私は、大倉さんとともに車に乗り都内を走り抜けていく。

外はよく晴れ、気持ちのいいお出かけ日和だ。



「大倉さんは、今日仕事大丈夫だったの?」

「あぁ。夕方から少し打ち合わせが入っているから、それまでに会社へ行く」



きっと大倉さんだって忙しいはずだ。けれどそんな中私のために時間をあけてくれたのだと思う。



ここで『ありがとう』ときちんと言えればかわいげもあるのだろう。

けれど、意識してしまうと言えなくて、「そっか」とだけこぼして窓の外に目を向けた。



「それで、どこに向かうの?」

「星乃が間違いなく楽しめるところだ」



私が……?

って、どこだろう。

ごはんの美味しいお店?それとも景色のいいところ?

なんだろう、と考えているうちに車は東京を出てアクアラインを抜ける。



そして家を出てから一時間半ほどかけやってきたのは、千葉県の房総半島にある有名な水族館だった。



「す、水族館……!!」



入り口にある、大きなイルカのオブジェを見ただけで私のテンションが上がるのを見て、大倉さんはおかしそうに笑った。



「言っただろ?星乃が間違いなく楽しめるところ、って」

「うん!絶対楽しい!早く入りましょ!」



まるで子供のように大倉さんの袖を引っ張り歩き出すと、彼は慌てて後に続いた。



平日でもそこそこ人の多い、広々とした園内を歩く。

大きな水槽にはいくつもの種類の魚たちがゆらゆらと泳ぎ、そのほかにもペンギンやアザラシ、フラミンゴなど沢山の種類の動物たちがいた。

そのひとつひとつを見てははしゃぐ私に、大倉さんは一緒に見てずっと話を聞いてくれた。



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