クールな社長の溺甘プロポーズ
「これ、なに?開けてもいい?」
うなずく彼に袋を開け中身を取り出すと、それはガラスのドームの中にイルカが飾られたスノードームだった。
「スノードーム……?」
まじまじと見つめれば、可愛らしいイルカを包むように、キラキラとした細かなスパンコールが舞ってとても綺麗だ。
「さっき売店で見かけたんだ。今日の思い出に」
そういえば、間にお互いトイレに行った時間があった。その時に買っておいてくれたのかな。
わざわざ、私のために。
そう思うと胸には大きな嬉しさがこみ上げて、自然と笑みがこぼれだす。
「ありがとう……嬉しい」
大切にする、約束する。思いを込めるように両手でぎゅっと握りしめる。
ねぇ、大倉さん。今日、すごく楽しかった。
あなたといると穏やかになれる。
別れの時間を、寂しく思ってる。
だから、だからね。
「今日、すごく楽しかった。また、来ようね」
いくつもの言いたいことがある。だけど、今はまだこれだけで精いっぱい。
これから先にあるかもしれない、あなたと『また』を願ってる。
「そうだな。また来よう」
嬉しそうに笑う大倉さんに、言葉にしていない思いまで伝わってしまった気がした。
落ち込む心も、優しく溶かしてしまう人。
そんなあなたの隣が、愛しい。