クールな社長の溺甘プロポーズ
それから翌日も私たちは一日中各店舗を回った。
青森から、秋田、岩手、山形、宮城……と転々とし、迎えた最終日。
7日目の今日、仙台店での巡回を最後に私と米田さんは午後の新幹線で東京へ帰る予定だ。
そしたら、大倉さんと食事だ。
17時頃に東京に着くって言ったら、仕事早めに切り上げて迎えに来てくれるって言ってた。
そんな、わざわざいいのに。
甘やかされているな、と思いながらもその優しさに流されてしまう。
さて、浮かれずに今日も仕事!
白いスキニーパンツにグレーのパンプスを合わせた、動きやすさのあるスタイルで、私はホテルを後にした。
「やっと最終日だな。帰りお土産買ってく?」
「はい。と言っても、行く先々でお土産買ってますけど」
「澤口、珍しいお菓子見つけるたびに『お土産にしよー』って買ってるもんなぁ」
はは、と笑う米田さんとともにキャリーバッグをコインロッカーに預けると、駅からほど近い商業施設にある店舗へと向かった。
エスカレーターで2階にのぼりすぐ目の前に掲げられた【SNOW DROP】の看板。
木目と白いレンガを基調としたどこか北欧スタイルの内装のお店には、今季の春物商品が並んでいる。
「じゃあ俺3階行くから、また後で……」
米田さんのブランドは3階にあることから彼が上のフロアへ向かおうとした、その時。
「あっ、澤口さん!」
突然大きな声で私を呼んだのは、私よりいくつか若いスレンダーな女の子。
全身をうちのブランドの服で包んだ彼女は、仙台店の店長だ。