クールな社長の溺甘プロポーズ



「それが俺の本音。じゃあ、星乃の本音は?」

「え……?」

「強がりでもなく、自分を守るための言葉でもない、星乃自身の本音が聞きたいんだ」



気づかれて、いた。

『責めればいい』、『呆れたでしょ』、それらの言葉は本音をぶつけて拒まれるのが怖い私が自分を守るための言葉。

だけど、大倉さんは本音を隠さず伝えてくれた。



その気持ちに、自分も精一杯応えるべきだと思うから。

怖いけど、勇気を出して伝えるんだ。



「……ごめん、なさい。本当はすごく迷ったの……今日、ずっと楽しみにしてたから。だけどやっぱり、どうしても仕事は譲れなくて」



しぼり出す声に、彼のジャケットをぎゅっと握る。



「お店を助けたいって気持ちを選んで、ごめんなさい。だけど、大倉さんに会いたいって思ってたこの気持ちだけは、本当だから。だから、信じてほしいの」



会いたいって、思ってた。

大倉さんと過ごす時間を、楽しみに思っていた。

その気持ちひとつひとつは、本当だ。



だから、疑わないで。信じてほしい。

信じてもらえないかも、『じゃあどうして』と否定されるかもしれない。

そう思うと怖いけれど、本音を伝えて向き合いたいから。



ジャケットを握る手にいっそう力を込める私に、大倉さんは優しく頭を抱き寄せた。


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