クールな社長の溺甘プロポーズ



それから私たちは、今日は東京へ戻ることを諦め近くのビジネスホテルへとやってきた。



予約なしで急遽ということもあり、部屋が空いていればそれだけでもラッキーだ。

……そう、わかってはいたけれど。



「では2名さま、お部屋は306号室となっております。ごゆっくりどうぞ」



にこやかな笑顔のホテルのフロントマンから渡されたのは、鍵ひとつ。

そう。すぐに用意できる部屋は限られており、ふたり同じ部屋に泊まることとなってしまったわけだ。



真顔で鍵を受け取る大倉さんの隣で、私は引きつった笑みを見せる。



「……ちょっと。仕方ないから同じ部屋に寝るけど、寝込み襲わないでよね」

「それは遠回しに寝込みを襲ってくれということか?」

「率直に襲わないでってこと!!」



私のせいでここまで来てもらったわけだし、ワガママは言えないけどさ……。

話しながらエレベーターで3階へ向かい、306号室へと入る。

見れば部屋は広々としており、ベッドはツイン。距離を取って過ごすにはちょうどいい。



同室ということに緊張はしてしまうけれど、さっさとお風呂に入って寝て明日の朝を迎えてしまおう。

部屋の端に鞄を置き、大倉さんはジャケットを脱ぐ。


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