クールな社長の溺甘プロポーズ
30畳近くはあるだろうか、ひとり暮らしには充分すぎるほどゆとりのあるその部屋。
室内には、黒いテーブルに白いソファ、ブラウンのラグマットとシンプルながらもセンスのいい家具が置かれている。
それらにテレビと、最低限のものしかない部屋の中で、大きな窓から見える東京の夜の街並みがまるで一枚の絵のようだ。
「お、大倉さん……ここ、家賃いくら……!?」
「家賃?そうだな……」
「あっやっぱり言わなくていい!!聞きたくない!!」
聞こうとしたはいいものの、自分との差を余計感じてしまいそうで、私は慌てて耳を塞ぐ。
私が住んでいるようなマンションではないだろうとは思っていたけれど、これは予想以上の部屋だ……。
「適当にくつろいでくれ。今コーヒーでも淹れる」
そう言って、大倉さんはスーツの上着を脱ぐと、袖をまくりながらキッチンの方へと向かう。
遠目から見た感じで、キッチンも整理されている様子だ。
「部屋、綺麗にしてるのね」
「ほとんど寝に帰る程度だから簡単な掃除でなんとかなる。月に一度ハウスキーパーも頼んでるしな」
そういえば以前そんなことを言っていたっけ。
私の部屋より断然少ない回数だ。女なのに情けない。