クールな社長の溺甘プロポーズ



「ちょっと、今日私普段着なんだけど……」

「ここのレストランはカジュアルで大丈夫だ。そこまで浮いてもいない。星乃のあの寝巻きだったらまずいが」

「ほっといて」



悪かったですね。毛玉がついてよれた、女子力のかけらもない寝巻きで。

大倉さんをじろりと睨んでから、横目であたりを見ると、いかにもブランド物といった服に身を包んだ女性たちがこちらを見ている。



「ねぇ、あの人超かっこいい」

「本当だ。けど連れてる子微妙じゃない?」



本人たちはひそひそと話しているつもりなのだろう。けれどその声はしっかりとこちらまで届いている。

すると大倉さんは、歩きながら自然な手つきで私の肩を抱いた。



「安心しろ。星乃が一番かわいい」

「は!?」



って、なんの話!?

一瞬意味が分からなかったけれど、彼の言葉に慌ててその場を去る女性たちが見え、今のは彼女たちの発言に対してだったのだと気付いた。



『一番かわいい』なんて……普通の顔で言えてしまうから、また困る。

そういう仕草や言葉が、私をまた勘違いさせる。




それから案内されたのは、48階にあるフレンチレストラン。

ゴールドと赤を基調とした高級感あふれる店内を奥に進むと、6人掛けの個室へと通された。



正面には大きな窓があり、東京の夜景がよく見えるいい席だ。



これはまた、高そうな席……。

このお店自体高そうなのに個室となればさらにだろう。確かに『いい店』とは言ったけど、よかったのだろうか。

そう心の中で悩みながら、席に着く。


< 149 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop