クールな社長の溺甘プロポーズ
目を覚ました時には、ふわふわとした感触に包まれていた。
「ん……」
見れば、柔らかなベッドの上、シーツに包まれている。
ここ、どこ……。
ぼんやりとした頭で、もぞもぞと体を起こせば、そこは自宅とは全く違う部屋。
窓から夜景が見える中、白い横長のソファと茶色いテーブル、奥にはダイニングテーブルのようなものもある。
クリーニングしたてのような清潔感のある香りに、生活感は感じられない。
「起きたか?」
「あ、大倉さん……」
洗面所があるらしい奥から出てきた大倉さんは、ジャケットを脱ぎネクタイもほどいている。めずらしくラフな姿だ。
「ここは……?」
「ホテルに無理を言って部屋を急遽取った。吐きそうだと言っている相手を車に乗せるのもどうかと思ってな」
そうだったんだ……。気遣わせちゃった。
そう思いながら辺りを見ると、ここが恐らくスイートルームだろうことを察した。
急遽でこのグレードの部屋をとれるあたりがまたすごい。
「水飲むか?」
「うん、飲みたい」
大倉さんは頷くと、冷蔵庫から水の入ったボトルを一本持ってきてくれた。
それを受け取り、よく冷えた水をごくりと飲むと、気持ちがすっきりとした。
ふぅ、とひと息をつく私を見て、大倉さんはベッド横に置かれた椅子に腰を下ろす。
「もう少し飲み方を考えろ。他の男の前でやったら思うツボだぞ」
う……。
確かに、少し大人げない飲み方をしてしまったかも。
だけどそもそもは大倉さんの発言から湧いたモヤモヤを吹き飛ばしたかったからで……。
そう心の中で言い訳をしながら、言葉を選ぶ。