クールな社長の溺甘プロポーズ
「えっ……そ、そうなのか?」
驚くお父さんの顔を見ながら、グラスを手にして口をつける。
「そう。今日はそれをはっきり伝えるためにきたの」
隣で大倉さんがどんな表情をしているかを見る勇気はない。
驚いているかな、戸惑っているかな。
それとも、ほんの少し安心してる?
「私は、私を好きで選んでくれる人と結婚したい。親の会社のために一緒になっても、そんなの惨めなだけ」
そうだよ。
好きな人といたいから、結婚という形を選ぶんだよ。
だから、だからこそ。
「だから、大倉さんとは結婚しない」
結婚なんて、できない。
その心が、私を見てくれないとわかっているから。
そう、迷いなく言い切った。